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千一夜
第52章 第七夜 本当の顔
 江村都子が誰かと巡り合った? あるいは誰かを探し出した? 
 だが本当のところは誰にもわからない。
「すみません、ちょっと失礼します」
 遠海はそう言うと、スマホを持って席を離れた。私が腕時計で時間を確認すると二時を少しだけ回っていた。遠海の休憩時間はとうに過ぎている。
 遠海は直ぐ戻ってきた。
「もう少しお話しをしたいんですが、お店に戻らなければならなくなりました」
 席に腰掛け遠海はそう言った。
「時間に気が付かずすみませんでした。お忙しいところありがとうございました」
 私と咲子はそろって遠海に頭を下げた。
「話すのに夢中になってこれを食べるのを忘れてました」
 遠海はショートケーキに手を付けていなかった。
「お店のスタッフの方は何人いらっしゃいますか?」
 私は遠海に訊ねた。
「私を入れて三人ですが」
「三人ですね?」
 私は店員を呼んで二つのショートケーキを頼み、持ち帰りができるように頼んだ。店員は一二分待っててくれと言って厨房に向かった。
「ご馳走になっていいんですか?」
「構いませんよ。私たちが遠海さんに無理を言ってお話を聞かせていただいたんですから」
 咲子が私の代わりにそう言った。
「ありがとうございます。あの、さっきの写真もう一度見せていただけますか?」
 遠海が言うさっきの写真とはM会の交流会で撮られたものだ。
「どうぞ」
 私は写真を遠海の前に置いた。
「……」
 遠海がじっと写真に写っている沢田絵里を見ている。
「どうですか? もう一度ご覧になった感想を聞かせてください。その女性、もしかしたら江村都子さんじゃないですか?」
 おそらく遠海は「似てはいるが違う人物」だと言うだろう。答えが簡単に変わるわけがない。だが私は、最後にもう一度遠海舞にそう訊ねた。
「……」
 遠海は私の問いには何も答えずに写真を見続けている。そういう遠海に声を掛けるのが憚られる。答えなくても私は遠海に催促できない。そのときだった。遠海の頬に一筋の涙が流れた。驚いたのは私だけではない。咲子も遠海の涙を見たのだ。私と咲子は顔を見合わせた。
「都子ちゃん……」
 小さな声だったが、確かに遠海は「都子ちゃん」と言った。それが意味するのは……。
「……」
「この女性は江村都子さんだと思います」
 遠海舞ははっきりそう言った。
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