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千一夜
第7章 第二夜 パヴァーヌ ③

私はさらに強く主人の手を強く引いた。
「無理。絶対に無理。俺犯罪者になっちゃうよ」
「もう立派な犯罪者じゃん。私の体を触りまくったくせに」
「立派な……」
「健太は何か勘違いしてるんだよ」
「勘違い?」
「そう。ここがラブホだからってエッチすると思ってるんでしょ」
「百人の男がこの場にいたら間違いなくそう思うはずだ」
主人はラブホの看板を見ている。
「カップルズホテルってカップルのためホテルだよ。だからここを利用する人はエッチだけのために来ているわけじゃないの。ビジホと違って遮音性は高いし、だから大声で話しても隣を気にする必要なんてなし。お腹が空けばそれなりの食事がルームサービスで受けられる。こういうとこ知らなかったでしょ」
私は少しだけ嘘をついた。ここに来るカップルは間違いなくセックスをする。
「大事な話をするにはここが最適というこことか」
「そう」
もう一度主人の手を引く。主人はもう抵抗することを諦めたようだ。
「やっぱり気が乗らないな」
主人は亀のように歩く。
「健太、健太の名前で予約入れてるんだから早くフロントでチェックインしてきてよ」
私は動き出した主人の背中を押した。そしてフロントでは主人の後ろに隠れた。どんなに大人っぽい格好をしても年齢を誤魔化すことはできない。髪を切ったとき母からこう言われた「何だか小学生みたいね」と。高校一年生の私は所詮高校一年生でしかない。
「いらっしゃいませ。ご休憩でしょうか? ご宿泊でしょうか?」
「早川健太で予約していると思うのですが」
主人がフロントの男に向かってそう言った。
「少々お待ちくださいませ」
フロントの男がパソコンの画面に目を落とす。そして数秒後。
「早川健太様、本日ご宿泊ロイヤルコースでご予約を受けたまっております」
「宿泊!」
「……」
主人の大きな声にフロントの男は驚いた様子だった。
「宿泊ですか……」
「そのように承っておりますが」
ここで休憩に変更されては私の計画が台無しになる。私は主人の背中を突いた。
「宿泊……宿泊します」
「こちらがお部屋の鍵でございます。あちらにシャンプーセットとアメニティーバイキングがございます。お部屋にご自由にお持ちください」
主人がフロントの男の指した方に顔を向けた。
「無理。絶対に無理。俺犯罪者になっちゃうよ」
「もう立派な犯罪者じゃん。私の体を触りまくったくせに」
「立派な……」
「健太は何か勘違いしてるんだよ」
「勘違い?」
「そう。ここがラブホだからってエッチすると思ってるんでしょ」
「百人の男がこの場にいたら間違いなくそう思うはずだ」
主人はラブホの看板を見ている。
「カップルズホテルってカップルのためホテルだよ。だからここを利用する人はエッチだけのために来ているわけじゃないの。ビジホと違って遮音性は高いし、だから大声で話しても隣を気にする必要なんてなし。お腹が空けばそれなりの食事がルームサービスで受けられる。こういうとこ知らなかったでしょ」
私は少しだけ嘘をついた。ここに来るカップルは間違いなくセックスをする。
「大事な話をするにはここが最適というこことか」
「そう」
もう一度主人の手を引く。主人はもう抵抗することを諦めたようだ。
「やっぱり気が乗らないな」
主人は亀のように歩く。
「健太、健太の名前で予約入れてるんだから早くフロントでチェックインしてきてよ」
私は動き出した主人の背中を押した。そしてフロントでは主人の後ろに隠れた。どんなに大人っぽい格好をしても年齢を誤魔化すことはできない。髪を切ったとき母からこう言われた「何だか小学生みたいね」と。高校一年生の私は所詮高校一年生でしかない。
「いらっしゃいませ。ご休憩でしょうか? ご宿泊でしょうか?」
「早川健太で予約していると思うのですが」
主人がフロントの男に向かってそう言った。
「少々お待ちくださいませ」
フロントの男がパソコンの画面に目を落とす。そして数秒後。
「早川健太様、本日ご宿泊ロイヤルコースでご予約を受けたまっております」
「宿泊!」
「……」
主人の大きな声にフロントの男は驚いた様子だった。
「宿泊ですか……」
「そのように承っておりますが」
ここで休憩に変更されては私の計画が台無しになる。私は主人の背中を突いた。
「宿泊……宿泊します」
「こちらがお部屋の鍵でございます。あちらにシャンプーセットとアメニティーバイキングがございます。お部屋にご自由にお持ちください」
主人がフロントの男の指した方に顔を向けた。

