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千一夜
第57章 第八夜 island 王道
聞きたいかと私に訊ねておいて、河田は勝手に話を終わらせた。
確かに河田の話は、私の想像を思い切り膨らませてくれた。だが簡単にまとめれば、死にそうになってたところを田舎のお爺さんとお婆さんに助けられたということだ。
よく同じ話を何度もする人間がいると聞く。今度河田が店に来てこの話をしたら、私はどう反応すればいいのだろうか。はっきり言う、こんな話もう聞きたくない。
“もも”からの“イチゴ味”からの“リンゴ果汁”のアイス。この世に、この味を想像できる人間は何人いるのだろうか。
「はいこれ」
河田はそう言って、ジャケットの内ポケットからレポート用紙を四つ折りにした紙を私に渡した。「あんぱん買ってきて」と書いてあったらどうしよう。
私は四つ折りの紙を開いた。
まず目に飛び込んできたのが“王道”と言う文字だった。
「これ何ですか?」
「いや、ちょっと恥ずかしいな」
「……」
一番大きな文字は王道。次に大きな文字は“ドライブ”と“グルメ”だった。それと大きさが同じ文字を探すと“?”が書かれてある。
「練りに練った今日のデートプランです。まあ発案者は僕でなく会社の人間なんですが」
「デートプラン? 今日の?」
「はい、今日のデートプランです」
「一つ確認なんですが、今河田さんはこのプランの発案者は会社の人だと言いましたよね?」
「はい」
「自分のデートプランを人に頼んだ?」
「うん~ん、頼んだのかな……」
運転をしている河田は、私の方に顔を向けずに唸った。
「頼んだんですよね?」
助手席に座っている私は、運転者河田の横顔をさっきからずっと見ている。
「頼みました。でもね、言い訳じゃないですよ、僕自慢じゃないですがデートしたことないんですよ。つまりですよ、こういう場合はデートの先輩に訊くべきじゃないですか? デートを熟知している人間なら、必ず失敗しないデートプランを僕に教えてくれる。そう思いません?」
「……」
思わない。河田良和、本当に上場企業の役員なんだろうか。もしかしたらレンタカーで私を迎えにきたこの河田良和は偽者?
「完璧ですよ、僕の戦略」
「このプランをプロデュースした会社の人は?」
僕の戦略じゃなくて会社の人間の戦略だろ、と言いたかったが、その言葉は何とか飲み込んだ。
「こんな僕にも秘書がいるんですよ」
「その秘書さんが?」
「そうです」
確かに河田の話は、私の想像を思い切り膨らませてくれた。だが簡単にまとめれば、死にそうになってたところを田舎のお爺さんとお婆さんに助けられたということだ。
よく同じ話を何度もする人間がいると聞く。今度河田が店に来てこの話をしたら、私はどう反応すればいいのだろうか。はっきり言う、こんな話もう聞きたくない。
“もも”からの“イチゴ味”からの“リンゴ果汁”のアイス。この世に、この味を想像できる人間は何人いるのだろうか。
「はいこれ」
河田はそう言って、ジャケットの内ポケットからレポート用紙を四つ折りにした紙を私に渡した。「あんぱん買ってきて」と書いてあったらどうしよう。
私は四つ折りの紙を開いた。
まず目に飛び込んできたのが“王道”と言う文字だった。
「これ何ですか?」
「いや、ちょっと恥ずかしいな」
「……」
一番大きな文字は王道。次に大きな文字は“ドライブ”と“グルメ”だった。それと大きさが同じ文字を探すと“?”が書かれてある。
「練りに練った今日のデートプランです。まあ発案者は僕でなく会社の人間なんですが」
「デートプラン? 今日の?」
「はい、今日のデートプランです」
「一つ確認なんですが、今河田さんはこのプランの発案者は会社の人だと言いましたよね?」
「はい」
「自分のデートプランを人に頼んだ?」
「うん~ん、頼んだのかな……」
運転をしている河田は、私の方に顔を向けずに唸った。
「頼んだんですよね?」
助手席に座っている私は、運転者河田の横顔をさっきからずっと見ている。
「頼みました。でもね、言い訳じゃないですよ、僕自慢じゃないですがデートしたことないんですよ。つまりですよ、こういう場合はデートの先輩に訊くべきじゃないですか? デートを熟知している人間なら、必ず失敗しないデートプランを僕に教えてくれる。そう思いません?」
「……」
思わない。河田良和、本当に上場企業の役員なんだろうか。もしかしたらレンタカーで私を迎えにきたこの河田良和は偽者?
「完璧ですよ、僕の戦略」
「このプランをプロデュースした会社の人は?」
僕の戦略じゃなくて会社の人間の戦略だろ、と言いたかったが、その言葉は何とか飲み込んだ。
「こんな僕にも秘書がいるんですよ」
「その秘書さんが?」
「そうです」

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