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千一夜
第7章 第二夜 パヴァーヌ ③

主人は冷淡な視線を私に寄越した。感情のない主人の目。そもそも今姉というワードは禁句だ。でも仕方がない。私の取引の材料は姉なのだ。
「……」
姉という言葉が主人を無言にした。
「健太、もうお腹いっぱいでしょ。一緒にお風呂に入ろ」
できれば主人とは取引などしたくない。だから私はそんな風に言ってごまかした。
「飛鳥ちゃん、葵のことで何か知っているのか?」
「……」
当たり前だが、主人は姉という言葉を聞き流してはくれなかった。
「なぁ、飛鳥ちゃん」
「知ってる」
「飛鳥ちゃん、教えてくれ。飛鳥ちゃんが知っていることをすべて俺に教えてくれ」
「……」
「頼む」
主人は私に頭を下げた。残念ながら私の願いは主人には通じなかった。
「条件があるの」
「条件?」
「そう、条件」
「どんな条件?」
「これから私と健太は一緒にお風呂に入ってそれからエッチをする」
「そんなの無理に決まってるじゃん」
「そうしたらお姉ちゃんのことで知っていることを全部健太に話す、どう?」
「飛鳥ちゃんが知ってること?」
「そう」
「ダメダメ、女子高生とエッチなんかしたら俺捕まるから」
「だったらパパとママに言うから。健太は私のおっぱいとおま×こを触ったって」
「……」
主人は難しい顔をして黙った。
「どうする健太?」
「飛鳥ちゃんが葵のことを知ってるという証拠はあるのか?」
私は主人のこの台詞を予想していた。
「これ」
私は主人にスマホを渡した。画面には姉からの着信記録が残っている。
「……」
主人は私のスマホの画面から目を離さない。おそらく主人はスマホに残った姉の電話番号を確認している。
「お姉ちゃんがいなくなった日、お姉ちゃんから電話があったの」
「そのことをお父さんやお母さんに言った?」
「あの人たち、私の話なんて聞かないもん」
「でも言わなきゃダメだろ!」
主人は声を大きくした。
「……」
私は何も答えられなかった。
「それで、葵は何て言ってたの?」
「秘密」
「秘密って、そういうこと言ってる場合じゃないだろ!」
「東大生でも怒るんだ」
「そんなことは関係ない!」
「帰る!」
怒った主人を初めて見た。
「悪かったよ」
帰ろうとする私の手を主人が掴んだ。
「放してよばか健太」
「悪かった、謝るよ。この通りだ」
主人は私に頭を下げた。
「……」
姉という言葉が主人を無言にした。
「健太、もうお腹いっぱいでしょ。一緒にお風呂に入ろ」
できれば主人とは取引などしたくない。だから私はそんな風に言ってごまかした。
「飛鳥ちゃん、葵のことで何か知っているのか?」
「……」
当たり前だが、主人は姉という言葉を聞き流してはくれなかった。
「なぁ、飛鳥ちゃん」
「知ってる」
「飛鳥ちゃん、教えてくれ。飛鳥ちゃんが知っていることをすべて俺に教えてくれ」
「……」
「頼む」
主人は私に頭を下げた。残念ながら私の願いは主人には通じなかった。
「条件があるの」
「条件?」
「そう、条件」
「どんな条件?」
「これから私と健太は一緒にお風呂に入ってそれからエッチをする」
「そんなの無理に決まってるじゃん」
「そうしたらお姉ちゃんのことで知っていることを全部健太に話す、どう?」
「飛鳥ちゃんが知ってること?」
「そう」
「ダメダメ、女子高生とエッチなんかしたら俺捕まるから」
「だったらパパとママに言うから。健太は私のおっぱいとおま×こを触ったって」
「……」
主人は難しい顔をして黙った。
「どうする健太?」
「飛鳥ちゃんが葵のことを知ってるという証拠はあるのか?」
私は主人のこの台詞を予想していた。
「これ」
私は主人にスマホを渡した。画面には姉からの着信記録が残っている。
「……」
主人は私のスマホの画面から目を離さない。おそらく主人はスマホに残った姉の電話番号を確認している。
「お姉ちゃんがいなくなった日、お姉ちゃんから電話があったの」
「そのことをお父さんやお母さんに言った?」
「あの人たち、私の話なんて聞かないもん」
「でも言わなきゃダメだろ!」
主人は声を大きくした。
「……」
私は何も答えられなかった。
「それで、葵は何て言ってたの?」
「秘密」
「秘密って、そういうこと言ってる場合じゃないだろ!」
「東大生でも怒るんだ」
「そんなことは関係ない!」
「帰る!」
怒った主人を初めて見た。
「悪かったよ」
帰ろうとする私の手を主人が掴んだ。
「放してよばか健太」
「悪かった、謝るよ。この通りだ」
主人は私に頭を下げた。

