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千一夜
第8章 第二夜 パヴァーヌ ④
 私の背中にはもう主人が舐めるところがない。丁寧に丁寧に私は主人に料理される。そして天才シェフは私にこう言った。
「犬になれ」
「……」
 私は主人の言った意味がわからなかった。
「飛鳥、犬になれ」
「犬ってどういうこと?」
「犬の格好をしろということだ。四つん這いになれよ」
「……」
 嫌だったが、私は主人の指示に従った。
 主人は、犬の格好をしている私の後ろに回った。
「脚をもう少し広げろ」
「これでいい?」
 私は少しだけ脚を広げた。
「もう少しだ」
「……」
 私の広げ方に不満があったのか、主人は私の足首を掴んで私の脚を広げた。
「これでよし」
 主人はそう言うと私の臀部を両手で掴み、お尻の穴が見えるように親指を使ってお尻を広げた。
「ちっちゃ」
 主人がそう言った。
「飛鳥のけつの穴まじで小さいわ。やっぱガキだな」
「ガキガキって私のことをそんな風に言わないでよ」
 今度ばかりはどうしても主人の言葉を流すことはできなかった。やはり主人は私と姉を比べている。姉は大人で私はガキ、許せない。
 後ろが見えないという私の不安を主人は上手く利用している。ただ、見えないが気配のようなものだけは感じる。
 お尻の穴を覗き込まれ、今度主人は私のお尻の匂いを嗅いでいる。意地悪な主人は、クンクン匂いを嗅ぐ様子を私に伝えるのだ。そして主人はこう言った。
「無臭……つまんねえな」
「……」
 匂いがないとつまらないという主人を私は理解できない。
「あっ、ちょっとまった。こっちは何だかもう匂ってるぞ」
「こっちって?」
「飛鳥のおま×こ」
 お風呂で何度も丁寧に洗った。匂うはずがない……。
「臭い?」
「ああ臭いよ。飛鳥のおま×こ」
「ばか健太!」
 あそこが匂うと言われて怒らない女はいない……はずだ。
「飛鳥、勘違いするな。男も女も発情すればあそこは匂う」
「私が発情してるとういこと?」
「そう。間違いなく飛鳥は発情している」
「じゃあ、健太のおちんちんも臭い?」
「多分ね」
「健太も発情してるんだ」
「ふん」
「ふふふ」
 何だか主人に勝ったような気がして嬉しかった。
 言葉のやり取りは小休止。これで終わりなんて我慢できない。早く先に進んでほしい。でも言えない。早くやってよ、なんて恥ずかしくて言えない。
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