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千一夜
第9章 第二夜 パヴァーヌ ⑤
 赤い小さな鳥居が見えた。公園の隣に神社があったのだ。
「あっちゃん、神様にお祈りしてから公園に行こう」
「うん」
 私は姉と一緒に鳥居を潜り神社で手を合わせた。
 何を願ったかなんてわからない。私はただ姉の真似をしただけなのだから。真剣な顔をしている姉の口元がわずかに動くのが見えた。
 私も何か神様にお願いをしたらしい(何を願ったのかは残念ながら記憶にない)。それを聞いた姉は大笑いしていた(笑われたという記憶はある)。笑われて私は少し恥ずかしかった。
 今だったらこう願うだろう。どうか神様、私の胸が姉よりも大きくなりますように、おま×こに毛が生えてきますように、と。
 小さな公園には誰もいなかった。雲一つない晴天ではなかったが、太陽は寒さに負けずなんとか輝きを地上に送っていた。
 一番最初に遊んだ遊具はブランコだった。勢いがつくように姉が私の背中を優しく押した。シーソーでは私がいつも高くなるように姉は気をつかってくれた。ジャングルジムでは姉が鬼になって私を追いかけたのだが、私が捕まりそうになると姉はわざとスピードを緩めて私を逃がしてくれた。
 楽しかった。姉とこんなに遊んだことなど家にいてもなかった。だからこの時間がずっと続けば、歳が離れていても姉妹という関係はとても濃密なものになっていったと思う。
 しかし、そうはならなかったのだ。
 ひとしきり遊ぶと私は疲れてしまった。コートを着て遊んだせいかもしれないが、私は少し汗もかいていた。
「あっちゃん、帰ろう」
「うん」
 帰りたくないと、駄々をこねることもなかった。私は十分遊んだ。公園に来るときと同じで、私は姉に手を引かれて帰り道についた。このまま別荘に帰るものだと思って私は姉と一緒に歩いた。
「……」
 姉は無言で急に立ち止まった。
「どうしたの?」
 私は姉を見上げてそう訊ねた。姉はある方向に目を向けていた。姉の視線を追うとそれは神社の方だった。そして姉の視線の先には小さな建物があった。
 神社の物置小屋のようなもので、箒や塵取り、冬囲いの道具などがその中にしまわれているようだ。
 姉は別荘ではなく、その物置小屋に向かった。
「どうしたの? 帰らないの?」
 私はもう一度姉にそう言った。
「うん、ちょっとね」
 姉はそう言った。
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