この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
千一夜
第9章 第二夜 パヴァーヌ ⑤
 このときすでに私には嫌な予感がしていた。姉は私の手を引きながらその小屋の周りを歩き始めた。木でできた小屋。その小さな小屋が私には不気味に見えた。だから私は姉にこう頼んだのだ。
「帰ろうよ」
「……」
 姉は私の言葉を無視して小屋の様子を探っている。
「早く帰ろうよ」
「……」
 姉は私の言葉をまた無視……しなかった。
「あっちゃん、この中に入ってみようか」
「いやだ!早くおうちに帰りたい!」
 私は姉の手を強く引いてそう頼んだ。
「お姉ちゃんと一緒だから大丈夫。ちゃんと手をつないでるから」
「いやだ!帰りたい!」
 気味の悪い小屋の中に入るなんて冗談じゃない。でも姉は諦めなかった。姉は私の前においしい餌をぶら下げたのだ。
「あっちゃんが私と一緒にこの中に入っったら、もう一度ブランコに乗ろうよ。お姉ちゃんがまたあっちゃんの背中をまた押すから。どう?」
「……」
 断ればよかったのだ。でもついさっきブランコに乗った楽しい記憶が、私の判断を狂わせた(小学二年の女の子に判断というものがあればの話だが)。それに小屋には私一人が入るのではない、姉と一緒だ。
「あっちゃん、いいでしょ?」
「どうしようかな」
 迷ってはいけなかったのだ。
「一緒に小屋の中に入ってみようよ。お姉ちゃんが一緒なんだよ」
「うん、わかった」
 そう言って私は姉の顔を見た。姉は笑っていた。ただそれは顔が妙に歪んだおかしな笑い方だった。そして私の手を握っている姉の手に力が入った。
 逃がしてなるものか、という姉の強い意志を私は感じた。
 姉は私の手を引いて小屋の入り口の前に立った。姉がゆっくり小屋の戸を引いた。小屋の中は真っ暗だった。そのときだった。私の体が宙に浮いた。どうして宙に浮いているのかすぐにわかった。私は姉から後ろから抱えられ、そして持ち上げられたのだ。
 どうなっているのだろうか? なぜ姉はこの小屋に入るために私を持ち上げたのだろうか? 頭の中がパニック状態? いや違う。私の頭の中は真っ白の状態だ。
 驚き、戸惑い、そして不安。そういった感情が私を一気に包んだ。私はその間声を出せなかった。
 そのときだった。私の背後から笑い声が聞こえた。それは薄気味悪い笑いだった。男の笑い声でもない、女の笑い声でもない。奇妙な動物の笑い声のような気がした。
/339ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ