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千一夜
第9章 第二夜 パヴァーヌ ⑤
 ずっと私は冷静だった。計画を立てること、そしてそれを私は落ち着いてやり遂げた。
 冷静でなければ私の目的は達成されない。冷静であれ冷静であれと自分に言い続けてきたのだ。
 その日姉は美術館には出勤せず、箱根の別荘に向かった。今箱根の別荘は父の会社の福利厚生施設として保養所になっている。夏の休みに保養所を利用する社員はいるが、初冬の別荘にやってくる社員はいない。
 私は姉と一緒に電車に乗るはずだったが、私は二本遅れた電車にわざと乗った。絶対に姉と一緒にいるところを見られてはいけない。計画が見事に達成されたとしても、私には完璧なアリバイのようなものが必要だからだ。
 別荘は駅から歩いても行けることろにかる。だから姉が歩いて別荘に向かったのか、それともタクシーを使ったのかはわからない。もちろん私は歩いて別荘に向かった。私という存在は誰からも知られたくない、タクシーの運転手の記憶の中に私をに残してはいけない。
 コートにも気を遣う。多くの女子高生が通学に着るコートを私は購入しそれを着た。女子高生の中に私の存在を紛れ込ませる。
 目立ってはいけない。歩いているときも私は地元の人間のようなふりをして歩いた。目的達成のためのものは紺色デイパックに入れた。幸いなことに真面目な女子高生を職質する警官はいない。だから私は誰にも呼び止められることなく別荘に着くことができた。
 姉はリビングのソファに座ってテレビを見ていた。
「お姉ちゃんの好きなの買って来た」
 私はそう言って、デイパックから姉の好きな缶ビール取り出して姉に見せた。
「サンキュー、あっちゃん」
「じゃあこれグラスに注いでくるね」
「ありがとう」
 姉はテレビに向けている眼を私に寄越さずにそう言った。
 私はグラスに缶ビールを注いだ。それを姉のいるリビングに持って行った。
「どうぞ」
「サンキュー」
 私がグラスを姉の前に置くと姉はグラスの三分の一くらいまで一気に飲んだ。姉はアルコールの中ではビールが一番好きなのだ。
「冬でもビールは最高ね。喉が渇いていたからいつもよりおいしく感じるわ。あっちゃんも飲んでみる?」
 私は首を振った。
「あっちゃん、優等生なんだね」
「ふふふ」
 私は笑って誤魔化した。
 姉はそう言うとまたグラスに口を付けた。
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