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千一夜
第9章 第二夜 パヴァーヌ ⑤
 計画を遂行するために、私は短い時間でいくつかのことを準備して、いくつかものを手に入れた。
 私は柔道部員の友人を頼って柔道部に数日間通った。高校女子柔道のチャンピオンを目指したからではない。私にはどうしても必要なものがあったからだ。それは柔道部の練習で使われているダミー人形。このダミー人形の重さは三十㎏近くある。
 私がしなければならないことは、このダミー人形を軽々抱き上げること。本物はこの人形より十八㎏くらい重い。このダミー人形を抱き上げることができなければ、本物を抱き上げることなど到底できない。
 初日、私が抱き上げようとしてもびくともしなかった。私の様子を伺っていた柔道部達に笑われた。どんなに笑われても私の心は折れなかった。
 そんな私を見かねた友人が抱き上げるコツを教えてくれた。友人の指示に従って私はダミー人形を抱き上げようとした。少しだけ人形が浮いた。初日はそこまで。私が人形を抱き上げたのはそれから五日ほど経った日だった。そのとき、私を笑っていた柔道部員は私に拍手してくれた。
 計画実行まで私は三度箱根の別荘に通った。
 駅から別荘までの間、私は何人の人間とすれ違うのか? 別荘の近隣の住民たちに出会う確率、のようなものも確認した。できることなら私は誰にも会わずに別荘まで行きたい、そして帰りたいのだ。
 別荘に入っても私にはやることがある。リビングから地下にあるワイン蔵(保養施設になって中には何も置かれていない)までの距離をメジャーを使って何度も測った。距離が短ければ短いほど私の負担は減る。残念ながら何度測っても距離が短くなることはなかった。
 母が眠れない日に飲んでいる睡眠薬を手に入れるのは難しかった。母はとても几帳面なので、薬の数を正確に把握している。その母の目を盗まなければいけない。
 私は母にそのことが知られる覚悟で、母の薬袋から睡眠薬を一錠手に入れた。母にばれたら「最近眠れなくて」と言い訳するつもりでいたが、幸いにも母からそのことで疑いの目が私に向けられることはなかった。
 計画実行の前日の夜、私はその薬をスプーンを使って粉々に砕き、細かくなった粒をさらにつぶした。パウダー状にすることはできなかったが、何とかそれに近づけることはできた。
 
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