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第8章 啓子
悲しそうな顔で啓子を見下ろして
・・・ スイマセン ・・・・
項垂れ 申し訳なさそうに謝って来た
啓子は口の中の物を飲み込んだ後 微笑みを浮かべ
・・・ 良いのよ 若いんだから ・・・
・・・ いっぱい 出たわね ・・・・
体を引き 湯の中へ誘い 隣に座らせて
暗い屋外に視線を送った 月の光も無い
外の景色は 山間の稜線だけを暗い星空に
浮かばせ 川のせせらぎの音と湯船に流れ込む
湯の音だけが聞こえて来る
露天風呂に背中を預け 荒木の体を引き寄せて
二人並んで湯に浸かり 5年前の事を思い出していた
**
夫の為の夕飯の準備をしている時に
電話が鳴った 手を拭きながら受話器を取った途端
「 母さん 日下とは もう縁を切るから!! 」
「 何? どうしたの潤 ? 」
突然の電話に啓子は 受話器を握り
長男をどう落ち着ちつかせて 話を聞こうかと
頭の中を駆け巡らせていた
今年24歳 同じ会社で2年付き合っていた
美和に子供が出来 慌てて結婚 出産と
慌ただしい1年が落ち着いて 長男の蒼も
間もなく1歳の誕生日 若すぎる
息子夫婦の生活に 啓子は干渉しないように
接してきた
潤が高校生の時 夫の則夫の 横領が発覚して
進学の為 蓄えていた貯金も 返済に充てた事で
会社も解雇だけで済ませてくれ
潤はそんな両親の姿を見て 進学を諦め
地元の小さな町工場へ就職をして6年
進学できなかった事に不満も漏らさず
今は 責任者として 立派に働く姿に
一つの事を成し遂げた 達成感とそして
自分たちの所為で 潤の進学を諦めさせた
負い目を持ち続けていた
・・・ スイマセン ・・・・
項垂れ 申し訳なさそうに謝って来た
啓子は口の中の物を飲み込んだ後 微笑みを浮かべ
・・・ 良いのよ 若いんだから ・・・
・・・ いっぱい 出たわね ・・・・
体を引き 湯の中へ誘い 隣に座らせて
暗い屋外に視線を送った 月の光も無い
外の景色は 山間の稜線だけを暗い星空に
浮かばせ 川のせせらぎの音と湯船に流れ込む
湯の音だけが聞こえて来る
露天風呂に背中を預け 荒木の体を引き寄せて
二人並んで湯に浸かり 5年前の事を思い出していた
**
夫の為の夕飯の準備をしている時に
電話が鳴った 手を拭きながら受話器を取った途端
「 母さん 日下とは もう縁を切るから!! 」
「 何? どうしたの潤 ? 」
突然の電話に啓子は 受話器を握り
長男をどう落ち着ちつかせて 話を聞こうかと
頭の中を駆け巡らせていた
今年24歳 同じ会社で2年付き合っていた
美和に子供が出来 慌てて結婚 出産と
慌ただしい1年が落ち着いて 長男の蒼も
間もなく1歳の誕生日 若すぎる
息子夫婦の生活に 啓子は干渉しないように
接してきた
潤が高校生の時 夫の則夫の 横領が発覚して
進学の為 蓄えていた貯金も 返済に充てた事で
会社も解雇だけで済ませてくれ
潤はそんな両親の姿を見て 進学を諦め
地元の小さな町工場へ就職をして6年
進学できなかった事に不満も漏らさず
今は 責任者として 立派に働く姿に
一つの事を成し遂げた 達成感とそして
自分たちの所為で 潤の進学を諦めさせた
負い目を持ち続けていた