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第8章  啓子
窓から見える緑の山並みに オレンジの色が混じり始め
蒼い空の色合いが濃く成り始めた頃 猛が部屋へ入って来て

 「 お食事に 行きましょう 」
誘って来た 啓子は頷き 二人で
食堂へと向かった

食堂に入ると 若い女性に案内されて
席に座る 小さな食堂にテーブルが8卓
6卓のテーブルでは もう食事が始まっていた
若い女性がスープを運び テーブルにのせられ
出されたスープを飲みながら店内を見回すと
支配人の誠も 他のテーブルに料理を運び
ワインを給仕して 二言三言話し 足早に
パントリーに消え また料理を抱え 他のテーブルへ
額を見ると 薄っすらと汗が光っていた

「 大変そうね 」
啓子は汗を掻く誠を見て言うと

「 同じ時間に 皆さん食事ですからね 」
前菜を 箸で摘まんでいる猛は 誠の姿に
視線を送り 答えて来る
幾つかのテーブルに デザートが提供された時
誠が 部屋の中央で

「本日の料理は 如何でした? 」
と皆の顔を見回す

デザートを食べていた 主婦だろうか
スプーンを置いて

「 ご馳走様 美味しかったですよ もう 満腹 」
浴衣のお腹を叩くと 他の席からも拍手が聞こえた

・・只今7時半 8時から 入口横に 
   囲炉裏が御座います・・・

・・・そこで 歓談など如何でしょう?・・・

・・・ご参加された皆様には 当旅館 特性のお酒を
   後ほど提供させて頂きます・・・

・・・ 本日はありがとうございました ・・・
言い残すと 奥へ消えて行った
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