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第2章 恵美子
二人の前に ワンボックスが止まり 
中から大柄な男が降りて来て 立ちはだかった 
晴夫は一瞬身構え 逃げ腰に成ってしまう
晴夫より一回り大きな体格 厳つい顔と鋭い眼光に 
敵わないと白旗を上げていた

身長は190センチは有るだろうか 
分厚い胸板と太い腕が 獣の様に晴夫に迫って来た

「谷口さんですか?」 
顔に似合わない 優しい声で男は言うと
車の後ろを開け 2人の荷物を積み込み始めた

「バスは夕方しか、動かないから、誠に言われてお迎えに」
バス停に座って居る 男性に声を掛け 

「 幸田様ですか? 」
男性が頷き 荷物を積み込むと 最後尾の席に座り
黙って 外を見つめていた

「ああ、誠は宿のオーナーで 私の幼馴染なんですよ」
走行中も 直樹は 温泉の由来や シェフの健太の話をして

「 健太は 東京のホテルに居たんですが 人間関係に嫌気がさして 」

「 今は 旅館の料理を 引き受けていますが 旨いですよ 」

「 楽しみにしてください お風呂と料理しかありませんからね 」
笑って車を走らせ 街道から脇道に車を入れ 
10分程で着きましたと 言うと 車を止め 
荷物を降ろして 晴夫が受け取り
恵美子が持とうとした 荷物を取り上げ
旅館の中へ入って行く 
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