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第13章 第13章 直美
鼻孔を甘いシャンプーの香りが擽る、抱き着いた
直美の頭に顔を付け、柔らかな体を抱きしめ

「 ご両親に挨拶に行かないとな 」
雄介は呟いた

「 両親・・・居ません、・・・妹も・・ 」
雄介に抱き着いていた頭が動き
直美が小さく言う

「 俺も親父 居ないから・・・ 」
直美の頭が上がり雄介を見あげた

・・・俺の住んで居た処、小さな温泉旅館だけ有る
小さな村で、親達は猫の額位の田んぼと自分達が食べるだけの
畑を抱えた農家をやってた、稲を収穫すると、村の男達は皆
街に出稼ぎに行くんだ、3月に成ると父親がお土産を抱えて
帰って来るのが楽しみで、3月に成ると弟と二人でバス停の
前で親父が帰って来るのを待ちわびていたな、
俺が中学3年の時だった、流石にバス停で待つことは無かったけど
カレンダーを見て、そろそろ帰ってくる頃と思っていたんだ
お袋もソワソワしてね、毎日朝飯を食べている時、
そんなお袋の姿を見て、弟と二人でお袋を揶揄うと
お袋、少し顔を赤らめて俺達を叱って来るのが、3月の日課だったな
3月の1週目が過ぎて、2週目3週目が過ぎて、出稼ぎに行った
人達が村に帰って来て、村が賑やかに成ったのに、俺の家だけ
親父、帰って来なかった・・・
3月の終わりにお袋、東京へ出かけて2日帰って来なかった
3日目に項垂れて帰って来て、爺ちゃんと婆ちゃんと、ずっと
話しをしていたな、俺たちが傍に行こうとすると、お袋が
きつい顔で、あっちへ行ってなさいと言われて、弟と部屋の隅で
お袋たちが話をしているのを、見ていたな、
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