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バーチャルお見合いシステム
第3章 (2)小5サヤカと30歳コウタ
コウタは、30歳独身。
無職。
ひきこもり。
オタク。
しかし、この日はつい魔が差して外出した。
例のバーチャルお見合いシステムが実装され
「こんな俺にもめぐり逢いがあるかな?」
などと不埒(ふらち)なことを考えたのだ。
さて、リアルのコウタは、まさにザ・オタクニートといった姿。
普通人の2倍はある肩幅と腹回り。
デカい顔にメガネ、背にはリュック、ぶとったカラダは4月の涼しい朝なのに汗だく。
バーチャルでのアバターは、念のため初期仕様を選択した。
バーチャルアバターの初期仕様は、身長175センチ、体重65キロ、筋肉質で、美男。
年齢は、25歳に初期設定されている。
アバターを変えるには、プラス5万円が必要。
しかしこれは
<自分のリアルの姿に似せたい>
という要望が非常に多かったため、プラス1000円になった。
「ねえ?」
電車内で、女の子の声がした。
コウタはきょろきょろしたが、姿がない。
「下、下」
「え?」
下を見ると、背の低い小学生の女の子が私立の制服姿でたたずんでいた。
「おじさん、オタク?」
「うん、そうだ」
「ふーん」
女の子は、にゅっと手のひらを上に向けて広げ、コウタに差し出した。
「え?????」
コウタは、驚きつつも、その小さな幼い手のひらに、自分の手のひらを重ねていた。
無職。
ひきこもり。
オタク。
しかし、この日はつい魔が差して外出した。
例のバーチャルお見合いシステムが実装され
「こんな俺にもめぐり逢いがあるかな?」
などと不埒(ふらち)なことを考えたのだ。
さて、リアルのコウタは、まさにザ・オタクニートといった姿。
普通人の2倍はある肩幅と腹回り。
デカい顔にメガネ、背にはリュック、ぶとったカラダは4月の涼しい朝なのに汗だく。
バーチャルでのアバターは、念のため初期仕様を選択した。
バーチャルアバターの初期仕様は、身長175センチ、体重65キロ、筋肉質で、美男。
年齢は、25歳に初期設定されている。
アバターを変えるには、プラス5万円が必要。
しかしこれは
<自分のリアルの姿に似せたい>
という要望が非常に多かったため、プラス1000円になった。
「ねえ?」
電車内で、女の子の声がした。
コウタはきょろきょろしたが、姿がない。
「下、下」
「え?」
下を見ると、背の低い小学生の女の子が私立の制服姿でたたずんでいた。
「おじさん、オタク?」
「うん、そうだ」
「ふーん」
女の子は、にゅっと手のひらを上に向けて広げ、コウタに差し出した。
「え?????」
コウタは、驚きつつも、その小さな幼い手のひらに、自分の手のひらを重ねていた。