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第12章 　　　　　（２）学校のＶ指導方針大転換

政府は、バーチャルお見合いシステムの導入に当たり様々な規制を作った。
職場内不倫の根絶、ロリコンのあぶり出し摘発、未成年者同士の恋愛禁止など。
いやむしろ、そういう規制を導入するためのカモフラージュとして積極的に推進したふしもある。

４月に導入した後、おおかたの国民からは好評だった。
ただやがて、このバーチャルお見合いシステムの最大の短所がクローズアップされてきた。
＜相手がいない非モテ男女は、永久にＶを使う機会が無い＞
営利目的でＶを使うことも禁止なので、大きな問題になった。

このシステムの目的は、旺盛すぎる国民の性欲をコントロールし、様々な性犯罪・性的トラブルを防ぐことにある。
ところが、そういう性的なトラブルを起こす人たちの大半が、いわゆる非モテの人たちという実態。
そこで政府は、６月に一人でもＶが使用可能なモードを作ることを秘かに決め、開発に着手していた。

８月末の規制キャンセラー発覚大騒動を経て、国民世論がバーチャルお見合いシステムの完全自由化に傾きかけたとき、政府はこれを発表した。
発表時は学校でのＶ指導の教材として提示され、正式名称は
＜バーチャルお見合いシステムのシングルモード＞
という。
ただ記者会見した当時の教育大臣が
「ひとりチンマン」
とおかしなネーミングで失言。
大臣は失言のため、クビに。
しかし以降、世間一般やネット上ではこの名前が普通の呼称になった。

９月３日、中２女子のナオミが在籍するＦ中学校の通常授業は、午前中で終了。
午後が、女子生徒対象のＶ指導に当てられた。
なお男子生徒には、＜ひとりチンマン＞の専用器具と説明書が渡されただけである。

キーンコーンカーンコーン♪
チャイムが鳴り、１～３年の女子生徒２００人が体育館に集められた。
ナオミたちは、興味しんしんという顔もあれば、不安いっぱいという顔も多数。
指導担当の女子体育教師が登場。
「では、Ｖ使用の心がまえの指導を始めます」