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コンビニエンス好きな女
第1章 コンビニエンス好きな女…
 ③

 あっ…
 すると、この不動産会社の社員のデスク等が並んでいる一番奥のスペースに…

「あ、あれっ」

 例の…
 あの憧れの…
 いつも夜に来店する…
 魅惑溢れる綺麗なお姉さんが座っていた。

「あ、え…」
 そうか、あのお姉さんはここの社員だったのか…

 すると目の前の女子社員さんが僕の視線を確認し…
「あら、オーナーをご存じですか?」

「え?…」
 
「え?、お、オーナー?…」
 驚きの声を上げてしまう。

 オーナーって?…

「はい、ウチのオーナー様です」

「ご、ご存じというかぁ、よくコンビニにも来店してきてくれてぇ…
 顔を知っている程度です…」
 
 そう言うと…

「あら、オーナーもコンビニ行くんだぁ…」
 って、意外そうに呟いた。

 え?、そうなのか?…

 オーナーはコンビニなんて行かないもんなのか?…
 僕はなぜかドキドキ高鳴ってしまう。

 確かにオーナーは…

 お金持ちは…
 コンビニなんて行かないのかもしれない。

 ていうか、オーナーって何?…

 店長とか、社長じゃなくて?…

 そんな事を考え巡らせていたら、あの綺麗なお姉さん、いや、オーナーと視線が合った。

 すると彼女はスッと立ち上がり…
 こっちへ…
 僕の座っているお客様カウンターに歩いてきたのだ。

「あらぁ、隣のコンビニのバイトくんだよね?」
 いつものややハスキーな声でそう話し掛けてきた。

「あ…」

「はいそうなんです、アパートをお探しで…」
 すると女子社員さんが簡単な説明をしてくれた。

「あぁ、あそこの鈴木さんのアパートの移転の件ね」
 さすが業界事情は理解しているみたいだ。

「で、お気に召したのはありまして?」

「い、いや、なかなか…」
 そう言うと、女子社員さんが補足してくれる。

「え、あの企業に内定貰ったんだぁ…
 すごいじゃなぁい、キミ、優秀なのねぇ…」
 そういきなり褒められて…
 僕はまた一気にドキドキと高鳴ってしまう。

「ふーん、じゃあ就職してもさぁ、まだまだこっちで住むのよねぇ?」

「あ、は、はい…」

 多分、転勤さえ無ければ、いや、新人にいきなりの転勤はないであろうが…

「あ、そうだ、じゃあさぁ、特別にさぁ」

 すると、オーナー様と呼ばている綺麗なお姉さんが…

 驚きの提案をしてきたのである。




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