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Dear.M ~例えばこんな風に貴女を壊す~
第4章 お隣さん
何も知らない夫は言った通り、いつもよりすこし早目に帰ってきた。
大地のこと…お隣の黒川さんにお世話になったことを伝える。

「ちょっと大地の顔を見てくるよ…」

薬が効いているのだろう、すやすやと眠っている。

「でも、いい人なんだなお隣に越してきた人…よかったじゃないか…」

私はキッチンで夕食の仕度をしながら…

「そうなんだよ…すっごくいい人だと思う…大空もすっかり懐いちゃってね……ちゃんとお礼をしないといけないな……」

こういう時は鍋に限る。
とった出汁で大地にはお粥さんを作ってあげよう。
精のつく料理はまた今度ということで、それは夫も理解している。

「そうだな…顔を会わせたら俺からも礼を言うけど、美海からしっかりとお礼言っておいてくれよ……よし、ささっと風呂入ってくるわ…」

夫はいつでも病院へ行けるように、こういう時は風呂上がりのビールも飲まない。
本当にありがたい存在だ。

「ママ…今日はママと一緒に寝れないよね?…」

大空もさすがお兄ちゃんだ。
ちゃんと理解してくれてる。

「そうだぞ…大空は今日はパパと一緒に寝るんだぞ…本読んでやろうか?…」

「えぇ?…いいよ……あ、そうだ…ボク、天音ちゃんと一緒に寝たい…」

「天音ちゃん?…誰だ、大空の彼女か?…」

「もう…天音ちゃんて……お隣の黒川さんよ……ほんとに大好きになっちゃったのね……」

ちょっと人見知りの我が子がそこまで懐くなんてちょっと意外に思った。
でも、子供が懐くということは安心できる存在なんだと思える。
私は大地が元気になったら、ちゃんとお礼をしようと考えていた。

2日もすれば大地はすっかり元気になり、
私は隣人へのお礼をどうしようかと迷っていた。

【独り暮らしだよね…食事とかどうしてるんだろう?…一人じゃお菓子なんて逆に迷惑かもしれないし……うーん……】

そして私は閃いた。
夫もお礼を言いたいと言っていた。
日曜の夜に夕食に誘うのはどうだろう?
仮に予定があるとかなら、その時はやっぱりお菓子とかにすればいい。

【好き嫌いもあるよな……】

私はまたまた閃いた。
大地の全快祝いも兼ねて、手巻き寿司パーティにしようと。

そして朝、朝黒川さんが出掛けるのを見張っていた。

【きた…】

私はエントランスポーチから偶然を装い声をかけた。

「黒川さん…おはようございます……」
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