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Dear.M ~例えばこんな風に貴女を壊す~
第7章 本気の代償
前川くんの名前はもちろん匿名。
私の名前はイニシャルだけ同じにマキにした。

告白してフラれた相手との再会と、ちょっと甘酸っぱい会話までをノンフィクションで綴ったと後書きに記した。
あとはオナネタのフィクションとして乱交の鬼畜ストーリーにして、私は昨夜の鬱憤を晴らすかのようにソロをした。

玩具は使っていない。
私の指を天音の指になぞらえ…逝く時は…

「天音っ…逝くっ……」

と漏らした。

トイレ前でのキスは真実。
彼と手を繋いだのも真実。
乱交は嘘だけど、浮気をしたのは本当。

後書きに書いた夫に迎えに来て貰い、一次会で帰ったというくだりも…やっぱり旦那だけだよって言い訳も嘘だ。

【あんな結末、恥ずかしくて描けないよ……】

でも、真実の結末はあれでよかったんだと思う。
溺れるようなセックスをされていたら、私は今朝普通に夫と会話なんてできなかった。
前川くんが情けないことになったから、私の罪悪感は多少軽くなっていた。
天音に早く会いたいとも思えなかったと思う。

夫と、天音以外とは二度としない。
そう確認させてくれたのだと、都合よく思うことにした。

【ごめんね…こんな好きモノで……】

大切な二人に心の中で詫びていた。


トイレの個室でワタシはわなわなしていた。

【なんなのこれ……】

少なくとも一次会で帰ったことも、旦那様に迎えに来てもらったことは嘘だ。
常連さんのコメントにも…

『やっぱり旦那様を愛してるから…。』

なんてコメントを返している。

【確かめてあげるよ…美海さん……】

ワタシは午後も鬼のように仕事をこなした。

定時で終わり、スマホを確認すると美海さんからLINEが届いていた。

『昨日はごめんね。盛り上がっちゃって結局二次会まで付き合わされたよ。二日酔いでダウンしてた。怒ってる?。』

【えぇ…怒ってますとも……】

それを感じさせることなく、ワタシも取り繕う。

『怒ってないですよ。楽しかったようで何よりです。』

美海さんは安心したように、次のお茶会の日時を聞いてきた。

『明後日が休みなので如何ですか?。』

【良かったぁ…天音、怒ってない……】

『絶対行く。楽しみにしてるよ。』

美海さんは知らない。
ワタシが嫉妬に狂っていることも…ワタシが本気になっていることも…。

次の日はワタシは朝早くマンションを出た。

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