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~疼き~
第2章 追憶

歳の頃、まだ30歳くらいにしか見えない女がひとりで店に入ってきて同じカウンターの奥の方に座った。

その女は、蒼を見ると軽く頭を下げて見せた。
蒼も同じように軽く頭を下げて見せる。

その女の容姿を顔は小さく背丈は小柄で身体は痩せていて、髪は肩まである栗毛色のストレートだった。

どうみても、蒼は自分と同じ年齢ぐらいだと思っていた。
決して美人ではないが、どことなく可愛らしい感じがする女だった。

蒼はホッピーと焼き鳥を頼んで飲んでいた。
この店の焼き鳥は実は鶏ではなく豚だった。

焼きトン屋さんだったのだ。
蒼はホッピーを飲み、焼き鳥をつまみにしながらその女の姿を見ていた。

マスターがその女にこう聞いた。

「お姉ちゃん、今日は何飲む?」
「そうね、いつもと同じのお願いします」

そういわれると、マスターは焼酎とホッピーをジョッキに入れて、カットレモンを浮かべてホッピーを作り、カウンター席に置いた。

「はい、お待たせ」
「ありがとう」

そう言うとその女は実に旨そうにホッピーを喉を鳴らしながらゴクゴクと飲んでいた。
その姿を見るとマスターはまたこう聞いてきた。

「さ、お姉ちゃん、今日は何焼きましょうか?」
「うん、今日はレバーにハツにシロを2本ずつお願いします」

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