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~疼き~
第3章 前日の事
でも、翌日になると酒はすっかり抜けていて、普通に仕事に行くのだ。
根っからの酒好きで酒には滅法強い様だった。
しかし、健康診断の結果は最悪だった。
γGTPが1000もあるのは異常だとしか言えない。
正常値であれば男性は0から70の間だった。
要検査になったのは言うまでもなかった。
夏海はそんな蒼の身体の事がとても心配だったのだ。
「蒼、それ以上お酒飲んだらダメだからね!!」
ちょっと強い口調で夏海はそう言うが蒼は聞いてはいなかった。
夏海は段々とイライラしてくるのを感じていた。
蒼は自分のいう事を聞いてくれない、こんなに心配しているのに何故?
そう思っていたのだ。
「夏海、そんなに怒るなよ。酒は少しずつ減らしていくからさ…」
そうのらりくらりと返事をしてくる。
「そのうち、そのうちって何か月目?」
夏海はちょっと呆れたようにそう話した。
もう、酒の量を減らすと言い始めてから数か月は経っていた。
この健康診断の結果が出る前から蒼の酒の量が多すぎると思っていたのだ。
だから、夏海は再三、酒の量を減らすようにと言い続けて来たのだった。
夏海の心配な気持ちはやがて怒りへと変わってゆく。
その気持ちに蒼は気づかないでいた。
「だったら、もう自分の好きにすればっ?私はもう知らない!!」