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~疼き~
第3章 前日の事
夏海はそう言うと蒼をひとり残して部屋を出た。
洋室のベッドルームがある部屋へと行ったのだった。
部屋に入ると扉をバタンと勢いよく閉めて夏海はベッドに倒れ込んだ。
もう、連休も終わり、明日からまた仕事なのに何でこんな気持ちにならなくてはならないのだろう。
そう、思っていたのだ。
明日からまた仕事の生活に戻る。
連休最後の日に蒼にキレてしまった。
そうは、思ったものの、やはり夏海の気持ちは収まらなかったのだ。
夏海は思い立ったように蒼のいる部屋にまた入っていった。
そして、こう言い放つ。
「今夜は、一緒には寝ないから。蒼はソファーで寝てっ!!」
夏海の心は怒りでいっぱいだった。
そんな夏海の姿を見て蒼はこういうのだ。
「あぁ、分かったよ、俺は今日はソファーで寝るから気にするな…」
この二人は決して仲が悪い訳ではなかった。
いつもセックスの話しをオープンに話し、食事も常に一緒にしていた。
もちろん、寝室もいつも一緒だった。
どこに出かけるのも一緒だったのだ。
この時ばかりは、夏海の腹の虫が収まらなかっただけだった。
夏海はまたベッドルームへと戻っていった。
ベッドへと倒れ込む。
そして、ため息をついた。
どうして、蒼は私のいう事を聞いてくれないのだろう。
そう、何度も思っていた。
この夜、二人は一緒に暮らし始めてから初めて別々に眠ったのだった。
夏海はひとりベッドで眠る事に寂しさを覚えた。
セミダブルのベッドがやけに広く感じたのだ。
だが、怒りは収まらなかった。
こんなに好きなのに、こんなに想っているのに、こんなに大切なのに。
何故、蒼は私のいう事を聞いてくれないのだろう。
この想いは果てしなく続いてゆくのだった。