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第3章 前日の事

二人が暮らし始めて、初めて別々に眠った翌朝の事だ。
夏海はいつもより早く目が覚めベッドからだるそうに這い出てきた。

正直なところ、夏海は眠れなかったのだ。
それくらいに心は高ぶり興奮していた。

「今日は、まだ蒼の顔を見たくない…」

そう、ひとり呟いた。

朝食はいつも蒼と一緒に作っては食べることが習慣になっていたが、この日の朝はそれをしなかった。

夏海はひとり身支度を済ますと、蒼が起きてくる前に家を出た。
会社があるセンター南まで行き、駅前にあるマックへと入っていった。

店内は朝食を食べるサラリーマンでいっぱいだった。
みんな、朝食は奥さんが作ってくれないのだろうか。

と、夏海はその光景を見て思っていた。
自分が座る席が無いのではないかと心配したくらいに混んでいたのだ。

注文カウンターに行きパンケーキに珈琲を注文した。
席が空いてないかと探していると、カウンター席がひとつ空いた。

すかさず、パンケーキを持ちその席に腰かける。
ひとりカウンター席に腰かけながら、パンケーキを口いっぱいにほおばっていた。

「蒼、許さないんだから…」

そうまた、珈琲を飲みながら呟く。
その後、会社の始まる9時までマックで時間を潰していた。