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~疼き~
第4章 たまごサンド
その言葉を聞くと夏海は珈琲を飲む手を止めてしまった。
「蒼と話せるのかな?香織?」
「少しなら大丈夫よ。でも、終わった後、凄く疲れちゃうから少しにしてね」
香織はそう言うと肩まであるソバージュの髪を少し耳に掛けて珈琲を飲んだ。
「夏海、良く蒼くんにサンドイッチ作ってあげてたでしょう?」
香織は笑いながらそう言ってきた。
「え?」
「また、作ってくれって言ってるわ…」
その言葉を聞くと驚いてしまった。
確かに、夏海は良くサンドイッチを作ってあげていた。
特にシンプルなたまごサンドを蒼はとても好きだった。
そのことを何で香織が知っているのだろう、と思っていた。
「なぜ、そのことを知ってるの?香織?」
「だって、蒼くんがそう言ってるんだもん…」
香織はちょっとおかしそうに笑って言った。
「今、私の頭の中はサンドイッチでいっぱいよ…」
尚も笑いながらそう言ってくる。
夏海はそれを聞くと懐かしさが込み上げてくるのを感じていた。
そう、あれはいつも蒼と自宅で一緒に映画を観ている時だった。
蒼はいつもたまごサンドイッチを作ってくれと、言ってきたのだ。
夏海が作るそのたまごサンドが大好きだった。
そのことを思い出していた。