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~疼き~
第10章 初対面
二人は観覧車に乗り込んだ。
係の人がこう言ってくる。
「手、気を付けてくださいね。いってらっしゃい」
そう言うと観覧車はゆっくりと振り子の時計のように動き始める。
ここからは15分間二人だけの世界になる。
この大観覧車は15分で一回りするのだ。
徐々に観覧車が上へと上がってゆく。
夏海は子供の様にはしゃいでスマホで蓮や夜景を撮っている。
「ねぇ、蓮、凄く街並みの灯りが綺麗だと思わない?」
「スゲー綺麗だな…」
窓から見える横浜の夜景は宝石箱を散りばめた様に綺麗だった。
その夜景を見ながら夏海は、蓮に蒼の事を話さなければならないと思っていた。
今まで、電話でのやり取りでも蒼の事には触れなかったのだ。
蒼の話をしたら、蓮は気分を悪くするのではないか。
そう思っていたのだ。
だが、蒼の事を隠してこれから先、蓮と付き合う事はできないと思っていた。
外の煌めく夜景を見ながら夏海が話す。
「蓮、真面目な話があるんだけど、いい?」
「あぁ、いいよ、なんだい?」
夏海は少し緊張しながら話し始める。
「実はね、私、ある人と同棲していたの。でもね、その人は突然事故で死んでしまったの」
蓮は、その話を黙って聞いていたが一言こう言ってきた。