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~疼き~
第12章 1年後
「蒼は、夏海さんの事を責めたりしていないと思うわ…蒼の為にも幸せになって欲しいの」
夏海はその事を聞くと胸が詰まる思いがした。
尚も続ける。
「蒼もきっと同じことを思っていると思うわ…」
「そうでしょうか、私、幸せになってもいいのでしょうか?」
夏海はちょっと泪目になってそう聞いた。
「そうよ、そうに決まってるわ…幸せになるのよ…」
文江に背中を押されているように感じていた。
そして、その言葉を聞くと、まだ心の中に少しだけ残っていた重たい鉛の様なものが溶けてゆくのを感じた。
自分は幸せになってもいいのだと思った。
前に進もうと思ったのだ。
夏海は文江達と別れると、また蒼の墓に行った。
「蒼、蒼の事は一生忘れないよ。蒼は私の思い出の中で生き続けるから。でも、哀しみはもう忘れるからね…蒼、またね…」
そう言い残すと蒼の墓を後にした。
自宅に着くまでの間、夏海は蓮との事を考えていた。
「夏海、一緒に暮らそう…俺が横浜に越してくるから…心配するな…」
そう、蓮は電話口でそう言っていた。
蓮に頼ってもいいし、甘えてもいいのだと思っていた。
夏海は駅のホームで電車待ちそしている間に蓮にLINEをした。