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青い欲情~男と女の色模様~
第1章 童貞卒業
『えっ?』
僕は掴まれた手首を見つめ
そのまま掴んでいる相手が誰なのかを確かめるために顔を上げた。
それはさっきまで僕の前に立っていた女性でした。
「君、わかっているわよね?」
「えっ?なんの事でしょうか?」
痴漢を咎めようとされているのには気づいていたけれど、僕は見に覚えがありませんというように
唖然とした表情で誤魔化そうとした。
「こっちに来なさい」
有無を言わせずに、その女性は僕の手を取ったまま、人混みを避けてホームの片隅に連れていった。
「あんなこと、していいと思っていないわよね?」
「あんなことって?」
ふざけないで頂戴!
女性の顔つきが変わった。
綺麗にメイクをして
元から長いまつ毛なのかカールした大きな瞳が僕を見据えた。
「駅員さんを呼んでもいいのよ」
そう言われて初めて僕はヤバい事になりそうだと自覚した。
「すいません…いえ、あの、…決して触ろうとかしていないですし…その…匂いを嗅いでたら勝手に勃起しちゃって…」
この際、正直に話すのが一番だと思った。
何よりも僕の手は塞がっていて
何一つ手は出していないのだから当然わかってもらえると思った。
「こんなことをするのは初めて?」
怒りの表情が、ほんの少しだけ柔和になって
近くのベンチに空きができると
「とりあえず座りましょうか?」と
僕と並んで腰を下ろした。