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青い欲情~男と女の色模様~
第8章 親父と沙織の関係
「まあ、なんにせよ…
彼女には近づかん事だな」
「どうして?」
「ん?そ、それはだな…
彼女の事について社内からはあまりいい噂を聞かないものだからな」
そう言うことだ、くれぐれも彼女とは金輪際会わない方がいいぞ。
そう念を押すと「さあ、早く風呂に入って寝なさい」と犬を追い払うかのように僕をシッシっと追い払った。
翌朝、僕は目覚めが悪かった。
当然だ。父親から沙織に近づくなと言われたのだから気分は目一杯落ち込んでいた。
キッチンに顔を出すと
いつもと変わらぬ風景が僕を待ち構えていた。
不機嫌な顔でコーヒーカップを片手に新聞を読みふける父。
朝からバタバタと弁当作りに精を出す母。
僕は朝の挨拶も抜きにテーブルの自分の席に座ってクロワッサンに手を伸ばした。
「朝の挨拶ぐらいしたらどうだ」
新聞から顔をあげずに
父がぶっきらぼうで僕を叱る。
「今に始まった事じゃないわよね」
カウンターの向こうでは
機嫌良さそうに鼻歌混じりで弁当の仕上げをする母が言った。
「お前の躾が悪いからだぞ
明人だってすぐに一人前の男になる。
人並みのマナーぐらい身に付けさせておかないと彼女が出来たときに笑い者になるぞ」
父に叱られても母は「はい、はい」と軽く聞き流すほどの余裕を見せていた。
なぜ、これほどまでに機嫌がいいのか?
僕は女というものが、ますますわからなくなっていた。