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青い欲情~男と女の色模様~
第8章 親父と沙織の関係
明人に春彦とのランデブーを見られているとも知らないで、二人は肩を寄せ合って改札を出た。
「始業時間まで、まだ時間があるから、その辺でお茶でもするか?」
春彦に促されて、沙織は無言で喫茶店のテーブルに着いた。
「驚いたよ…君が息子の明人と顔見知りだとはねえ…」
ウェイトレスがコーヒーをテーブルに置いて
去ってゆくのを待っていたかのように
春彦はそのように切り出した。
「えっ?明人くんって…
部長のご子息でしたの?!」
やはり、昨夜、明人を送り届けたときに
チラリと見えた人影は部長だったのねと
沙織は見られてしまったからには
何としてでも誤魔化さなければと思った。
「明人くんとは、ちょっとしたきっかけで…」
なんて説明すればいいのか
沙織が戸惑っていると
「学校の文化祭で知り合ったんだって?
あの学校に何か縁でもあったのかい?」
ああ、なるほど…
明人はそう言う風に説明したのね
ピンときた沙織は急いで明人が説明した筋書きに乗った。
「あの学校で教師をしている磯田という男性と顔馴染みなものですから…」
「それで合点がいったよ
息子の明人が嘘をついていると思ったんだが
私の取り越し苦労みたいだったようだな」
沙織は部長の春彦から
息子の明人が文化祭の役員をしている都合上、校内の案内係を命じられて沙織と知り合ったと聞いたと説明を受けた。
「ええ…そうなんです…その通りです」
明人ったら、なかなか上手い言い訳を考えたものねと、沙織は感心した。