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青い欲情~男と女の色模様~
第10章 資料室にて
午後の仕事が始まった。
昼の休憩はとっくに終わっているのに
沙織はまだ自分の席に戻ってこない。
『ったく…!あいつ、何をやっているんだ!』
春彦は頭を抱えた。
いくら自分の愛人だからとはいえ、
こうもあからさまに勤務態度が悪いと庇いきれない。
部内の皆がパソコンのキーボードを叩く音が響く中、ようやく沙織が戻って来た。
「木村くん、ちょっとこっちに来たまえ」
他の部下たちの手前、形式だけでも沙織を叱責しておく必要があった。
「何か?」
そう言って春彦の机の前に立つ沙織からは
春彦しかわからない色香を感じた。
上気した頬…
うっすらと涙目…
ハアハアと乱れた呼吸…
『こいつ、まさか社内で誰かとヤってきたんじゃ…』
春彦は焦った。
沙織は完全に自分のモノだと過信していたのではなかろうか?
これだけ自由奔放な女なのだから
自分の目を盗んで誰かとセックスするなど朝飯前だろう。
『ここは一つ、しっかりと楔(くさび)を打っておくか…』
春彦は心を鬼にして沙織を叱り付けた。
「君ねえ、お給料をいただいているんだから
それに見合った仕事をしなさい
最近は少し素行が悪すぎるぞ!」
ガツンと叱り付けてやった。
部内の社員たちの顔つきがホッとしたように感じる。
やはり皆も沙織がスタイルが良くて美人だから
私が依怙贔屓しているのではないかと思っていたようだ。
ちゃんとデキの悪い社員を叱る上司で良かったと安堵の表情を浮かべている。