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青い欲情~男と女の色模様~
第12章 美波の母 明江
「ああ…その事ですか…」
言葉を繋ぎながら
僕の脳ミソはフル回転した。
上手い言い訳を必死に探しだしていた。
「あれは…つまり…アレですよ…
美波さんが…そう…気分が悪くなったと言うので
ちょっと介抱してたんです」
「えっ?介抱?」
お母さんの真っ赤な顔から赤みが消えて
冷静さを取り戻しつつあった。
「美波さんは大丈夫と言ったんですけど…
僕、放っておけなくて…
失礼かとは思ったんですけど、
一緒に個室に入って背中を撫でてやったり
持っていた水筒のお茶を飲ませてやったり…」
僕は自分でも驚くほど
スラスラと嘘をつけた。
きっと将来的には詐欺師が天職になるかもしれないなと自分で思った。
「まあ…そうだったの?」
「お母さん、そういう訳らしいですよ
この年頃の子達は、誰かに見られたらとか
そんなことはお構いなしで思慮よりも先に行動に移しちゃうものなんです」
磯田!ナイスアシストだぜ!
「まあ…そうでしたの?私てっきり…」
お母さんはその先を言い掛けて
慌てて言葉を飲み込んだ。
「いえ。僕のほうこそ疑われるような真似をしてすいませんでした」
僕は立ち上がって、腰を90度に折り曲げて
深々と頭を下げた。