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青い欲情~男と女の色模様~
第15章 告発状
「さて、僕もそろそろ用意するかな」
その場の雰囲気を変えようと
僕はあえて大きな声を出して席を立った。
「なんだ、お前も出掛けるのか?」
「当たり前じゃん、若いんだぜ、
青春を謳歌して何がいけないのさ」
「来年は受験なんだから
少しは勉強しようって気にならないの?」
母も小言を言い始めたので
「正月ぐらいは羽根を伸ばさせてくれよ」と
僕は慌てて自分の部屋に戻った。
「さっきの悪戯だが…」
明人がリビングから姿を消すと
春彦は先程の告発の葉書の事を蒸し返そうとした。
「やだわ…あなた、もしかして本当に私が不倫をしているとでも?」
「いや…そんな風には思っていないけど…
最近のお前は妙に色気がでてきたからさ、ちょっと心配なんだ」
「まあ!色気が出てきました?
嬉しいことを言ってくれるじゃない
そういうあなたも、近頃は渋くていい男になってきたわよ」
『こいつ…もしかして俺が不倫をしているのを知っているのか?』
思わぬとばっちりを食っては割に合わないと
春彦は「おっ!もうこんな時間か…急がないとな」と、不倫話を断ち切るようにスーツの上着に袖を通した。
『まさか、母さんったら不倫しているのかな?』
僕は僕で部屋で出かける用意をしながら
一瞬だけ心に浮かんだ母の不倫を慌てて頭から打ち消した。
父と母が今でも自分の目を盗んでこっそりとセックスをしているのを知っているだけに
不倫なんかするはずないと、その事は心の片隅に追いやった。