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青い欲情~男と女の色模様~
第17章 対峙する夫婦
「お客様、こちらでよろしいでしょうか?」
タクシーの運転手は僕たち親子をホテルからたった数キロだけの移動に、あからさまな不服そうな顔をしている。
「ありがとう、ここでいいわ」
タクシー料金は1000円ちょっとだったけれど
母は運転手に二千円を渡して「お釣りはいいわ」と告げると、ホンの少しだけドライバーは笑みを浮かべた。
「母さん…今からでも遅くないよ
どこか別のホテルに行こうよ」
正月早々、夫婦喧嘩のとばっちりなんて食らいたくもないので、僕は必死に家に入ることはやめた方がいいと抵抗した。
「私たち夫婦の事だから、明人はどこかへ遊びに行ってきてもいいのよ?
彼女、いるんでしょ?」
「えっ?そ、そんな人いないよ」
「隠さなくてもいいの
もうエッチをする関係なんでしょ?
あんたと寝たから母さんにはわかるのよ
童貞だなんて嘘っぱちだったんでしょ?」
やっぱり女って怖いなと思った。
うまく騙したつもりでも、とっくにバレていたんだ…
「さあ、盗っ人女ぎつねをこらしめてやるわ!」
母さんはドアの施錠を解除すると
なるべく音を立てないようにゆっくりとドアを開けた。
玄関には洒落たピンヒールの靴がある。
どうやら沙織はまだ帰らずに家にいるようだった。