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青い欲情~男と女の色模様~
第17章 対峙する夫婦
「この女ぎつねぇ!!」
父をビンタした時と違って
今度は拳を握りしめてベッドで縮こまり震える沙織に向かって殴打しようとしていた。
人生経験が乏しく、
このような修羅場を体験したことのない僕は
現状を理解する思考もストップしてしまい、
ただ傍観するのみだった。
「待て!彼女は何も悪くないんだ!」
俊敏に動いたのは父だった。
沙織と母の間に素早く体を投げ入れて
振り下ろした母のパンチをモロに顔面で受け止めた。
少しだけぽっちゃりしている母の
どこにそんな力があるのかと驚くほど
そのパンチには威力があって
モロに食らった父の体がベッドの下へぶっ飛んだ。
ドスン!という地鳴りのような音で
沙織もハッとなって、
素っ裸の体を隠そうともせずに倒れこんだ父を抱きかかえた。
「ごめんなさい!奥さま!!
私、旦那様ととんでもないことをしてしまいました!」
沙織も父の春彦と並んで母に向かって土下座をした。
「よりによって私と夫の愛の巣のベッドで性交するなんて…汚らわしいわ!!
その女ったらしの男を連れてとっととどこかへ行って頂戴!!」
早口で捲し立てる言葉の語尾が怒りで震えていた。
「ごめんなさい!本当にごめんなさい!」
沙織は脱ぎ散らかした衣服を抱きかかえると
一目散に部屋を飛び出した。