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青い欲情~男と女の色模様~
第17章 対峙する夫婦
「待てよ!」
沙織は素っ裸のまま
衣服を抱いて家の外に飛び出そうとしているので、僕は慌てて引き留めた。
正月早々、裸の女が我が家から飛び出したのを誰かに見られたらどんな噂が広がるかたまったもんじゃない。
「沙織!そんな格好で外に行くな」
僕は沙織の腕を取って自分の部屋に引きずり入れた。
「とりあえず服を着たらどうだ…
僕も母も、今は興奮してしまってるけど
大丈夫、すぐに冷静さを取り戻すから」
冷静に戻ったところで
母が沙織を許せるはずもなく、
母が父に愛想をつかすか
父が沙織との関係を清算するか
答えはどちらかになるんだろうけど
そこに僕の入り込む余地がなくて
気持ちだけが空回りし始めていた。
「ごめんなさい…
私、明人も傷つけてしまったわ…」
端正な顔が涙と鼻水でグシャグシャになっている。
僕は何も言えずに
そっとティッシュボックスを差し出すしか出来なかった。
「これから…どうする?」
不倫がバレてしまったからには
もう僕の家庭教師もダメになるだろうな…
さて、問題は父さんだ。
母さんと沙織のどちらの女を選ぶんだろうか?
「私は…春彦を…あなたのお父さんと一緒になりたい…
でも、選ぶ権利は私にはないわよね…
春彦が私との関係を清算してくれと言うのなら
黙って身を引くしかないわ」
「とりあえず、きちんと話をしなよ
すべてきちんと清算した方がいいって」
着衣を済ませた沙織の手を引いて
僕はリビングに連れていった。