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青い欲情~男と女の色模様~
第18章 略奪愛
母の清美は呆然として街をさまよっていた。
長年連れ添ってきた夫に離婚を申し渡された…
不倫現場を見てしまい、きつい口調で夫をなじったけれど、心の中では「あいつとは別れることにした」と言ってもらえるものだと信じていた。
なのに夫は「三人で…」と、とんでもないことを言い出した。
そんなの承服できるはずもない。
一夫多妻制度などこの国には存在しない。
夫一人に対して妻の座はたった一人だけなのだから。
ならばと、夫は愛人である大村沙織を選んだ。
自分はもうお払い箱なのだと宣告されたに等しい。
どっちみち、自分だってヨガ教室の大森先生とデキてることが夫にも息子にも知られてしまったのだから離婚訴訟なんて起こせるはずもなかった。
それにしても…
誰が大森先生とのセックスを隠し撮りしていたのだろう?
あの部屋には彼と自分だけの二人だけだったというのに…
とぼとぼと街を歩いていると
突然プププ~っとけたたましいクラクションを鳴らされた。
驚いて振り返ると、信号待ちしている軽四の車の中から大森先生が人懐っこい笑顔でこちらに向かって手を振っていた。
「どこへ行かれるんですか?
良ければ送って行きますよ」
さあ、乗ってくださいと誘われて
清美は助手席のシートに体を沈めた。