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青い欲情~男と女の色模様~
第19章 学年末
「そんなに早く離婚がしたいのかよ?」
「いや…そう言う訳じゃないが…
俺は別にどうでもいいんだが…
このままだと沙織がかわいそうだろ」
沙織はキッチンに立って僕らから離れていたが
自分の名前が飛び出したことで
コーヒーカップを3つ用意して僕と父の座っているテーブルにやってきた。
「私はいいのよ
今までどおり春彦の愛人というか妾でも」
「いや、そういう訳にはいかんだろ
会社まで辞めてこの家に来てくれたんだから
君を妻に迎え入れる事がせめてもの俺の誠意だよ」
沙織が父の隣に座った瞬間に
父からは憂鬱そうな翳りの表情が消えて
やけに柔和な顔つきになった。
「妻公認の愛人ねえ…
まあ、それもいいんじゃない?」
どうぞ勝手によろしくやっていればいいと
僕は呆れて席を立った。
「あ、待って!明人くん」
部屋へ戻ろうとする僕を追いかけて
沙織が後をついてくる。
「ねえ…私が春彦の妻に…つまり明人の継母になるのは反対?」
「あったり前だろ!」
声を荒げてしまって僕は思わず両手で口を押さえた。
急いで沙織を部屋に連れ込むと
なるべく小声で話し始めた。
「なんでよりによって親父なんだよ!
愛人のままでいいって言うんなら、なんで僕と愛人契約を結んでくれないんだよ!」
そのように詰め寄ると、沙織の表情が曇った。