この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
青い欲情~男と女の色模様~
第19章 学年末
ヨガスクールで教えてもらった住所を
僕と美波は訪ねてみた。
マンションという肩書きがあるものの
オートロックもなく、セキュリティなど無いに等しいハイツに近いような建物だった。
「あ、ここよ」
教えてもらった部屋番号の扉の前に立ち、
美波が何度かインターホンを押してみたが
電源が入っていないのかチャイムの音が聞こえない。
焦れったくて、僕は思いきってそのドアを力一杯叩いてみた。
ドンドンドン!とけたたましく叩く音に
何だろう?と隣の部屋のドアが開いた。
「ちょっと、うるさいんだけど!」
「あ、すいません…
ここの住人の方に用があって来たんですけど…」
「そこ、空き部屋よ
昨日、引っ越し業者が来て荷物を運び出して行ったわ」
「えっ?引っ越した?」
途方に暮れかかった僕に代わって
美波が冷静沈着に「その引っ越し業者ってどこの会社かわかりませんか?」と隣の住人に聞いてくれた。
「こめん…そこまで覚えていないわ」
ごめんなさいねと頭を下げて、その住人は扉を閉じてしまった。
「これじゃあ、にっちもさっちもいかないね」
僕と美波は途方に暮れてその場にうずくまってしまった。