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青い欲情~男と女の色模様~
第20章 最終学年
「あのね…真剣に聞いてくれる?」
「僕はいつだって真剣だよ」
ニヒルな口調は似合わないってわかっているけど
僕は出来るだけクールに返答した。
「だから!そういうのはやめてよ!」
「はいはい、わかりましたよ
で、話って何だよ…」
これはついに完璧に振られる前ぶれだなと思った。
唇が乾燥してカサカサになってゆく。
「あのね…ないの…」
「何だよ、落とし物を探せって言うのか?」
「鈍感!女の子の印(しるし)が…来ないの…」
「印(しるし)?」
「だからぁ!来ないのよ生理が!」
それが何を意味するのか
鈍感な僕でもわかった。
「ホントに?いつから?」
「もうすぐ二ヶ月…いつもは遅れても二、三日なのよ…」
えっと…二ヶ月前って…
えっ?あのクリスマスの夜?!
「だから…どうしたらいい?」
どうしたらいいって言われても…
僕たちまだ高校生だし…
堕胎という文字が僕の脳裏に浮かんだけど、
それってつまり殺人じゃん…
それに僕と美波の愛の結晶ってことだろ?
「…産んでください…」
返答するまで五分ぐらいかかったけど
僕はそれしかないと覚悟を決めた。
「まだ高校生なのに?」
「俺、学校を辞める!
そんで、働くから!美波と赤ん坊を食わせていく」
とんでもなく浅はかな考えだとわかっていたけど
僕の出した答えに美波はポロポロと涙を流した。