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青い欲情~男と女の色模様~
第20章 最終学年
『もしもし、明人くん?』
着信は美波からだった。
僕に電話してきてるんだから僕に決まっているじゃないかと思いながら「僕だよ」と
テーブルに背を向けて小声で応えた。
妊娠の事を告げたのかという催促の電話に違いない。
『あの…妊娠の事なんだけど』
ほら、やっぱりそうだ。
「うん、わかっている
今から父さんに打ち明けるところだよ」
『待って!言わなくていいから!』
はあ?何でだよ?
遅かれ早かれ、報告しなきゃいけないのにさ
「黙っておくわけにもいかないだろ?」
『違うの!来たの!』
「来たって…?何が?」
『もう!鈍感ね!
今さっき来たのよ女の子の印(しるし)が!』
えっ?それってつまり…
生理が来たってことかよ!
『ごめんね…心配させちゃって…
でも安心して妊娠はしていなかったから!』
僕はホッとしたのと同時に
張りつめていた気持ちが脱力してしまい
ヘナヘナとその場にしゃがみ落ちた。
「明人!どうしたの?」
沙織が慌てて駆け寄ってくれる。
僕の手から滑り落ちたスマホから
『明人くん?どうしたの?ねえ、明人』と
僕を心配する美波の声がスマホの受話スピーカーから漏れていた。
僕は、その声を聞きながら介抱してくれる沙織の腕の中で気を失った。
気持ちが張りつめていたので持ちこたえていたけど、とんでもなく高熱をだしていたのだった。