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青い欲情~男と女の色模様~
第21章 最終章
僕たちは公園のベンチに座って沈みゆく夕日を眺めていた。
どちらも口を開かずに無情にも時間だけが過ぎてゆく。
夕焼けが落ちて夕闇が迫ってくる頃、
ようやく美波が声を漏らした。
「私、北海道に帰るね」
僕は慌てて「そんな…せめて泊まって行けよ」と
立ち上がろうとする美波の手を取った。
「泊まる?
あんたとお母さんがエッチしてたあの部屋に?
反吐が出そうだわ!」
なんと罵られても僕は謝るしか出来なかった。
美波が傍にいなくて寂しかったんだよと
苦しい言い訳をするしかなかった。
「ちょうど良かったわ…
私ね、明人にサヨナラを言いに来たの」
「サヨナラ?」
「明人とお母さんがデキてることを
私もとやかく言えないわ…
私もね…大学の同じゼミの男性の方と…
その…デキちゃったの」
「デキた?」
「ごめんね…私には東京に残してきた彼氏がいるからと、何度も断ってきたんだけど…
明人と同じでやっぱり寂しかったのかな…
今では将来を語り合うほどに惹かれあってるの」
嘘だろ?
美波に限って僕を見捨てる訳ない。
きっと親子のセックスを目撃して気が動転しているに違いないと、僕は美波の言葉を信じることが出来なかった。
「でね…最後に夕飯を一緒に食べて綺麗にお別れするつもりだったの…
でも、あなたが先に私を見捨ててくれて良かったわ。
これで心置きなくあなたにサヨナラが出来るし」
「そんなぁ!そんな一方的すぎるよ!」
「私が訪ねて来なければ
私に隠れてこれからもお母さんを抱いてゆくつもりだったんでしょ?
私、そんな不潔な男と寄りを戻したくないの!」
僕が握っていた手を振り払い
ベンチから立ち上がると
「どうぞ、お母さんと末長くお幸せにね」と
捨て台詞を残して、すっかり暗くなってしまった夜道を駆け出して去っていった。