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青い欲情~男と女の色模様~
第21章 最終章
何をするにも気力がわかない。
出るのはため息ばかりだった。
「おいおい、いつもの元気はどうした?」
いつもは精力が漲っているのに
落ち込む僕を見てみんなが心配してくれる。
「たぶん、そいつ、女にフラれたんですぜ」
僕と年齢の近い一番若い先輩がわかったように言いふらす。
「お前、わかるのかい?」
親方は酒と女には目がないので
そんな話題に食いついてくる。
「ええ、わかりますとも
僕も女にフラれた時もこんな感じだったでしょ」
「そういえばそうだな…
よしっ!ここはひとつ俺が奢ってやるから景気付けに一杯呑んで帰るか?」
親方の一言で作業が終わると
僕は無理やり現場近くの居酒屋に連れ込まれた。
「女なんてゴロゴロいるんだからよぉ
いつまで引きずってると体に毒だぜ」
そら、毒を消毒しなよと言いながら
みんなは僕にやけ酒をたくさん呑ませてくれた。
まだ、酒を覚えて自分の限界を知らないものだから、勧められるままにどんどんと呑んでいると
そのうち本当に目が回ってきた。
そんな時だった、隣の個室から「おねえさん、こっちお酒をもう一本お願いね」と注文する声が聞こえた。
「はい、かしこまりましたぁ~!喜んで!!」
店の従業員らしき女性の声を聞いて
僕はハッとした。
まさか!?この声は!
立ち去ろうとする女性従業員の顔を見ようと
急いで個室を飛び出すと居酒屋のコスチュームに身を包んで走り回っていたのは紛れもなく沙織だった!
「沙織!」
僕が声を掛けると沙織は驚いたように僕を見た。
「明人?どうしてここに?」
無理やり連れてこられたんだと
そう言うよりも先に沙織の顔がぐるぐる回りだして僕は泥酔して意識を失った。