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A crescent moon
第9章 世界
私はまたリビングの柱の近くに寝転び、天井を見上げた。

鎖はこの狭い一室ならトイレとキッチンまでは行けるくらいには、伸ばしてくれた。
けどあの金曜日の夜から、今日までの4日間、私はずっと正弘さんに監視されている。

初めのうちは抵抗もした。
言い返しもしたし、別れを何度も切り出した。

でもそのたびに手や足が飛んでくる。

(もう、疲れた…)

白い天井がやけに遠くに見える。

涙も枯れた。

抵抗する意味が分からなくなってきていた。

テレビもつけてくれない。

正弘さんと私だけの空間。

携帯はどこにあるのか、そんなもの知らない。

いい。

このまま結婚して家庭に入って、
家から出ずに、
機嫌とって、
正弘さんのためだけにご飯を作って、
正弘さんのためだけに笑顔を見せて、
正弘さんのためだけにセックスして、
正弘さんのためだけに生きていけばいいだけ。

簡単なことだ。

(全て諦めればそれで楽になれるんだ..)
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