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A crescent moon
第9章 世界
「じゃあ美和、行って来るね。」
「…」
朝見送りに玄関まで出られない私は、ぼうっと彼を見上げた。
昨日から抱かれ続けた体が重い。
少し細くなった鎖に対して、今度は南京錠の重さが強く感じられた。
「お昼ごはんは作れるね。」
「…」
じっと見つめると、ふっと笑ってキスした。
「早く帰るから。」
「…帰ってきて。早く、帰ってきて…」
私は正弘さんのために生きるから。
早く帰ってきてくれないと意味がない。
生きてる意味がない。
正弘さんはうれしそうに笑うと私の頬を包み込んで、またちゅっとキスした。
「美和、幸せだ。行って来ます。」
「…」