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A crescent moon
第9章 世界
「うるさいなあ~~」
私は頭を振って、もう一人の自分を隅に追いやった。
フローリングに寝そべり、毛布を引き寄せる。
目を閉じて、ゆっくりやってきた睡魔に身をゆだねた。
「ねよう…そしたら目が覚めたとき、正弘さんがいる…」
(ひとりじゃなくなる…)
私は眠りの中に引き込まれていった。
『なんねえ、あんた。もうすぐ夕飯っちゅうのに、そないなもん食べて。』
『お腹すいたんだもんー』
小学生のころの私が、お母さんに言った。
手に持ったドーナツはいびつな形をしている。
『まったく…太るよー?あんた、太りやすいんやし!』
『ええもんー!どーせ私はデブだもんー』
『そんなことゆうてへんやろ?』
流しで食器を洗っていたお母さんが振り返った。