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A crescent moon
第9章 世界

カレンダーが真っ赤だ。
あと3つ。
3つ。
3つ?

「美和...出会った時覚えてる...?」

「...」

私は答えるように正弘さんに抱きついた。
頭をなでてくれる手は優しい。

正弘さんは優しい人だから。

「受付でさ、本当は行き方わかってたのに...美和と話してみたくてわざわざ迷ったフリしたんだ。」

「...」

そうだったの?

嬉しくてまたギュッと力をいれた。

「美和、まだ大学卒業したばかりだしさ...俺よりどう見ても年下で...でも一目惚れしてた...食事に誘った時、俺すごい汗かいてて...気づいてた?」

首を傾げると、ハハッと笑う振動が胸から伝わってくる。

「だから、デートして、告白した時ほど緊張したことなかったよ。大学受験より緊張した。」

「...」

私も。
ずっと卒業してからもそれまでも寂しくて...
だから嬉しかったよ?

言いたいのに声が出ない。
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