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A crescent moon
第11章 愛愛
とにかく勉強に励み、お養父さんには大学まで行かせてもらった。
勉強ばかりしていたから受かるのは当たり前だと想っていた。
入学式では涙ぐむお養母さんを見て、誇らしかった。
これから恩に報いたい、と。
でもその後すぐにお養父さんが倒れ、 あっけなく死んだ。
それから年に何度かは実家を覗いたけど、日に日に抜け殻のようになっていくお養母さんになんとなく、嫌な予感はしていた。
バイトをして、少しずつお金をため、送る。
恋愛なんてしたいとも思わなかった。
寄ってくる女に本気にはなれず、身体だけの関係ばかりだった。
そして卒業式。
お養母さんは出席してくれた。
就職先を喜んでくれた。
誇らしいといってくれた。
それだけで十分だった。
『お父さんに報告してくるね。』
その言葉が最後だった。