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A crescent moon
第12章 再起
私が目を覚ました時間、正弘さんは昔二人で行った思い出の岬に車を走らせていた。

自殺だったのか、事故だったのか…

警察の話では、一度ブレーキをかけてから直前でアクセルを踏み込んでいたらしい。

見つかった残骸の中、遺体になった正弘さんは左ポケットに手をいれ、私の指輪を握り締めていたという。

精神的に不安定な私に、警察もそれ以上話を聞くことはできず、私も監禁されていたという事実を否定して、自殺という形で終わった。

勿論この時、私は混乱していて正弘さんは警察に捕まったということにされていた。
そのことすらあまり上手く理解できていなかったけれど。
病院に通いながら、少し安定してきた私はそれを信じようとした。
彼を待っていようと思っていた。
でも何となくもう彼はいないのだと感じてきたのは半年経ってからだった。

正弘さんにはもう家族も親類もいなかった。

私にはご両親は病気で亡くなったと言っていたけど、実際は母親は自殺していた。

孤独だった。

彼はずっと。

だから私を求めて、でも私がそれに答えきれず傷つけてしまった。

『あんたは自分を責めることない。』

おかあさんに何度言われても、夢に出てくるのはいつも正弘さんだった。
夜は寂しい。
孤独感を埋めて貰っていたのは、決して彼だけではなく、私もきっとどこかで彼に依存していた。
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