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A crescent moon
第12章 再起
「ただいま~~」

「お帰り~美和。どう?新しい会社。」

「まあまあかな~~」

「よっ!美和ちゃん。」

「タクトさん、こんばんは。」

私は良子の家に居候していた。

正確に言えば、タクトさんと私は二人とも良子の世話になっている。

「たっくん、いい加減に家探せば~~?」

「仕方ないだろ、家賃三分の一って最高じゃん。」

「ヒモやろう。」

「うるせえ。」

本当は二人で同棲を始める予定だったんだと思う。
でも私を家に来るよう言ってくれた彼女に今は感謝している。

田舎に帰ることも考えたけど、どうしても正弘さんとの思い出の地を離れることができなかった。

でも私も近々家を出たい。
良子の家にこれ以上はいられない。

「あっ…た…っくん…」

「声抑えろ…美和ちゃんに聞こえる…」

「んっ…」

夜遅く、気を使って抑えたあえぎ声が聞こえてくるたびに、申し訳なさと心の痛みが余計私を心細くした。

「…正弘さん…」


枕を抱きしめ、指にはめたリングと、首にかけた正弘さんのリングを握り締め毎晩泣いた。
お母さんが遺体の引き上げの後、預かっていてくれてたらしく、先日手紙と一緒に送られてきた。


誰かに抱きしめてほしい。
優しくキスしてほしい。

ただ、誰かの温かさを感じたかったーー
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