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A crescent moon
第12章 再起

私の勤める会社は、良子の友達が紹介してくれた。
女性ばかりの職場は、初め、少し男性に恐怖感を持っていた私には最高の場所だった。
半年間は電車すら辛かった。
密着する身体。
人、人、人。
耐えられず嘔吐したこともある。
一年経った今では、仕事の付き合いの男性とも話せるようになったし、電車にだって乗れる。
ただ、人の温もりを感じたいのに、恋愛には踏み出せなかった。
「美和ちゃん、今日みんなで飲み行かない?」
先輩の紀子さんに肩を叩かれ振り返る。
その伸ばされた手首に、チラリと切り傷が見えた。
「うわ~行きます!」
「よしっ!じゃあこれで3人確保!今日は残業なしね!」
「は~いっ」

