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A crescent moon
第3章 悪夢

(お願い・・察して!)

『・・もう、いちいち連絡しなくて良いわよ~!私たちの仲じゃん~?』

その言葉に私はほっとした。
正弘さんも息をついて私から離れた。

「うん。もうあんな夜に行かないよう気をつけるわ。・・うん、じゃあまた月曜日。」

私は電話を切ってソファでテレビを見ている正弘さんを振り返ると、肩をすくめて散らかったものを片付けた。



「明日さ、どっかいく?行きたいとこある?あ、美和、この間見たいって行ってた映画・・」

昨日のことをごまかすように・・というか、気にも留めてないように振舞う彼に、内心うんざりしていた。

昨夜私を殴って、暴言を吐き散らかした男の姿は今はない。
普段は優しい誠実な男だ。

会社で受付をしている私に声をかけてきたのは3年前。
たまたま営業で回ってきた彼を案内した際、食事に誘われたのがきっかけだった。


某有名大学を卒業して、淡々とエリート街道を歩いてきた彼は、他人からは羨まれることばかりだ。
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